最近話題になっている、
「経営力向上計画」を活用し、AIデータセンターに投資して一括損金処理を行い、節税を図るスキーム。
この手法では、
- データセンター設備は実際に稼働させる
- レンタル料収入も得るという一定の「事業実態」はあります。
しかし、それでも私はこのスキームを肯定することには慎重な立場です。
そもそも経営力向上計画の趣旨とは?
経営力向上計画は、
✅ 中小企業が「生産性向上」や「競争力強化」のために
✅ 実質的な設備投資や業務改善を行うことを支援する制度です。
「本業の競争力を高める」「会社の経営力そのものを高める」
これが本来の目的であり、節税効果を得ること自体は副次的なものであるはずです。
AIデータセンター節税スキームの問題点
たしかに、
データセンターを稼働させ、レンタル料を得るため、
表面的には「事業活動」「収益事業」をしている形にはなっています。
しかし問題は、
本業との関連性が薄すぎる点
です。
✔ 本来の事業(例えば製造業、建設業、小売業など)とは無関係な「AIデータセンター」
✔ 事業戦略の一環ではなく、節税メリットを最優先にした投資
✔ 実質的な事業成長や競争力向上への寄与が非常に限定的
こういったケースが多いのが実態です。
形式的には正しくても、精神的には逸脱している
たしかに、法律や制度上、現行ルールでは
「稼働している」「収入がある」なら、補助対象・税制優遇対象になる場合もあります。
しかし、制度の精神から考えると、これは明らかにズレています。
✅ 「とにかく節税したいから適当にデータセンター作りました」
✅ 「でも一応動いてますよ(形式的にはOK)」
これが認められ続ければ、
➡ 制度の趣旨が歪められ、
➡ 結果的に、本当に必要な企業が使いにくくなり、
➡ 将来的に制度そのものが縮小・廃止されるリスクも高まります。
まとめ:未来に投資するための制度を、大切にしたい
経営力向上計画は、
単なる「節税の道具」ではなく、会社の未来をつくるための支援制度です。
だからこそ、
✅ 本業に直結した
✅ 事業の成長に本気で資する
✅ 生産性向上や働き方改革につながる
そんな真っ当な計画に対して、正当に使ってほしいと心から願います。